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町山智浩さんのこれからが心配です:『進撃の巨人』の感想

『進撃の巨人』が公開前からとんでもない騒動になってます。
海外でのプレミア上映の評判が良い。その後日本で行われた試写でもそれを見た観客の良い評価がツイッター上に次々と上がっていく。自分が見たものは脚本を担当した町山智浩さんがリツイートしたものばかりであるが。
あとあとの騒動を考えるとそれも必死のリツートだったのかな、と思えなくもないですけど。
町山智浩さんが作り編集長を務めた雑誌、映画批評に寄せられたコラムニスト達の論評も総じて高評価。だだ一人、現編集長だけは厳しい意見ではあったが。これも彼だからこそ言えたことなんでしょう。
しかしその流れは公開直前で変わる。その発端は映画評論家の前田有一の映画評でした。その内容はこの評論家らしくかなり辛辣なもので世間の評価とは全く反対のものでした。点数は100点満点中40点です。でもこの人の評論を見てたら分かると思いますが結構よくあることなんです。他の話題作であろうと容赦なく扱き下ろしますから。
自分も前田有一の評論をよく見ますけど実は的を得た内容のものが多いんです。しかしあまりにも配慮がなさすぎる。一般人が世間話で映画を語るのと一緒です。僕らだって好き勝手に酷いこと言うじゃないですか。それをプロがやってしまったらとんでもないことになってしまう。様々なメディアを通して多くの人間がその評論を読んだり見たり聞いたりするわけじゃないですか、その影響は相当にあると言えます。だから彼は業界関係者の敵が多い。映画会社や試写会場からの出入り禁止を食らっているそうです。
ある一つの映画ラジオ番組がありました。『アシッド映画館』という番組でその内容はまさに前田有一の評論スタイルと同じものでした。そして10年ばかり続いたその番組はある日突然終了することになります。はっきりした原因が告げられないまま。
それとほぼ同時にもう一つの番組が突然終了します。『サイキック青年団』という番組です。芸能、音楽、政治、スポーツ、映画や漫画やアニメといったサブカルチャーなど、取り上げるテーマは多岐に渡り、番組はそれらをマニアックでディープな視点で語るものでした。なにも恐れるものがないといった語り口で。それはもう、誰がホモだ誰がズラだと言いたい放題の番組だったんです。
『サイキック青年団』と『アシッド映画館』は姉妹番組として知られていました。両番組のパーソナリティ同士の親交は深く番組間での行き交いもありました。その二つの番組が同時に突然終了した。
様々な理由の憶測が飛び交っていますがそのほとんどが関係者の怒りに触れたといったものでした。それも相当な有力者からの。
映画評論家の前田有一はそのような業界で飯を食っているのです。書いてる内容は誉めたものではありませんが勇気だけは誉め称えてあげたい。
でその前田有一の評論に激怒したのが『進撃の巨人』の樋口シンジ監督だした。
「誰がこんなやつに試写状を送りやがった!送った宣伝担当の馬鹿野郎が!」
その発言が公開の前日です。
しかしそれは本人が意図してネットに公開したものではなく第三者の何者かが知人しか見る事が出来ないようになっている非公開の文章をコピーしてネットに流出させたものでした。つまりは、内部犯の色が濃い。
そしてこの発言が元になって炎上が始まるのです。
そのほとんどが監督への批難でした。そりょそうです、どんな人間であろうと見る権利だけはある、それをあの野郎呼ばわりです。しかも宣伝担当のことも汚い言葉で罵っている。これまで映画をヒットさせるために一生懸命に頑張ってきた宣伝の人にそんな言葉を言っちゃいけない。
だがその後状況が一変。実は招待状は送られてはなくて前田有一が何か特別な方法で試写会場に無断で侵入したか人からの見聞きで憶測で評論を書いているということが判明したのです。
完全に形勢逆転です。今度は前田有一に一斉に批難が集中します。
これが映画公開前日に起こった騒動です。どうですか?もうなんだか初めから仕組まれたようなシナリオ通りの劇的な騒動でしょう?いろいろと勘ぐってしまいます。
だが騒動はまだ終わらない。ここから本番なのです(笑)ここからが真の地獄が始まるのだ(笑)
ここから自分が見た映画の感想です。
自分は漫画とアニメを見ていた人間です。特にアニメにはハマりました。正直漫画は作者の漫画家としての技術的な力量不足のせいで首を傾げる部分が多々ありましたが、アニメはそれを補って、ドラマ、アクション、全ての演出において原作を上回るものでした。アニメだからこそ表現できる要素が多かったのも作品が成功した理由でしょう。そして音楽もとてもよかった。音楽が作品の面白さをさらに底上げした感じです。
アニメだからこそできた、これが『進撃の巨人』を評価するものならば、では実写版はどうなのか、それが自分にとっての評価の分かれ目になります。
例えば登場人物達が装着する立体機動装置です。装置から射出したワイヤーで空を飛んで巨人と戦うのが進撃のアクションです。ようはスパイダーマンと同じですね、スパイダーネットで空を縦横無尽に飛び回るアクション。
それを生身の人間がします。普通ならそんなアクションは考えられないわけですよ、物理的に不可能。でもアニメなら可能なわけです。スパイダーマン以上のアクション演出を見せることができる。それが手描きアニメの良さなんです。特に日本はそういった技術に長けていています。アニメ版の進撃の巨人はそれがとてもよく描けていた。
それと同じものを実写版に求めるのは不可能な話しです。いや同じ見せ方をしようと思えば可能だけど生身の人間がすると一層現実離れして逆に滑稽に見えてしまいます。やはりアニメだからこその映像表現です。
そうなると必然的に優劣が決まってしまう。
では作品の最大の特徴である巨人の表現はどうなのか。巨人に補食される恐怖や絶望をどこまで原作に迫れるのか。これに関しては、表現の規制という制約の中で誤摩化しの部分が多かったアニメよりも限り無く規制を緩くした実写版の方が勝ります。逃げ惑い食い尽くされる人間達の姿がまさに阿鼻叫喚の地獄絵図です。
でもこの映画ってPG12指定なんですよ。国民的人気漫画の夏の大作映画ということでより沢山の人間に見てほしいといった理由でPG12にしたのかもしれません。だから極端にグロいシーンはなかった。不快に感じる一歩手前の表現にしているようでした。
問題は巨人の造型でしょうか。フルCGではなく生身の人間に演技をさせています。監督いわく、電車の中で見知らぬ人間と体が当たったときに感じる不快感、その生理的嫌悪感を表現したくて生身の人間を採用したそうです。またそれを一層際立たせるために普通の人よりも特徴のある容姿の人間を採用したそうです。つまり変な人ということですね。しかし自分はその不快感を感じることができませんでした。その辺りに普通にいる変なおっさんおばさんとしか(笑)だから笑えて(笑)多分そのままの作りでコントが出来ると思います。江頭や安田大サーカスや志村けんの変なおじさんが巨人になって人間をおっかけてくる。まあだからこそ怖いと言えば怖いんですけど(笑)
笑いと狂気って意外と近いところがあるしね。Mr.ビーンとかピーウィーハーマンとかも怖いよ(笑)もしかしたら素人よりもお笑い芸人を採用したほうがよかったんじゃないの?彼らの方が恐怖を感じさせることが上手いと思う。
アナログの方向性にするならそっちも人形のストップモーションアニメで作ればいいのに。大型巨人はそうやって作られたそうです。昔作られた『アルゴの探検隊』の巨人の方がよっぽど怖いと思うんだけどな。あえて昔の特撮っぽくぎこちない動きにしてさ。監督がこの作品の前に庵野秀明と一緒に作った『巨神兵東京に現る』も巨神兵を人形で作ってましたよね。再び庵野秀明と組む『ゴジラ』でもその路線を通してほしいな。
しかしなんだかんだ言って、そこそこの頑張りは伝わってくるんですよ。限られた予算内で出来ることを精一杯やっている。
でも予算とは関係のない脚本が問題だらけで・・
正直これだけは取り上げたくなかったんですよ、脚本を担当した映画評論家の町山智浩さんは僕の好きな映画評論家ですから。
作る前から不安はあったんです。日本で一番有名な影響力のある映画評論家が映画の脚本を作ってもいいものかと。評論家って他人が作った映画を良くも悪くも評価する立場じゃないですか。本来なら好きに物事を言える立場じゃないんですよね、自分が良い映画を作れるわけじゃないし。まあどんなジャンルのものであれそれは同じことなんですけど。
そんな立場の人が映画の脚本を作るなんて無謀にもほどがある。失敗したら目も当てられない。今後の脚本生命に関わります。今後好きに他人の映画を評することができなくなるわけですから。
しかし雑誌では、それを覚悟で脚本を引き受けたと語っていました。やってみなければ分からない、行動しなければ成功する可能性はゼロであると。だから相当の決意で仕事をしていたことは確かでしょう。
ではなぜそんな危険なリスクを抱えてまで町山智浩さんに脚本を依頼したのか?ということです。脚本のプロはもっとたくさんいたはずです。
一つは、原作者が町山智浩さんのファンであったこと、そして映画が目指す方向性に町山智浩さんの映画知識が役立つのではないかということです。
古今東西の映画知識、とりわけ、モンスター映画やホラー映画といったジャンル映画に強い映画秘宝を創刊した町山さんなら進撃の巨人が求めるものを引き出すことができるのではないか、そう関係者は考えたのでしょう。
おそらくそれは合ってます。見る人が見れば作品に様々な映画からの引用があることに気がつくでしょう。
しかしです、残念ながらそのほとんどが一般の人に理解されないままになっている。
物語に、なぜその演出が必要なのか不明な点があるところもそれが理由だと考えられます。意味が分からないシーンが突発的に挿入されるのだ。だから全体的にまとまりの無いちぐはぐさを感じてしまう。
原作にはない新しいことをしようとした結果そうなってしまった。これには原作者の責任もあるでしょう。最初は原作に沿った脚本を書いていたんですがそれを見た原作者は原作とは違った内容にしてほしいと依頼したそうです。
そうして生まれたのが、あの意味の分からないシーンでつぎはぎにされた物語です。しかしそのくせ原作での一番の盛り上がりを映画に持ってくる。映画には度々そのようなシーンが見られます。それが映画の中途半端性をより際立たせている。そこに原作ファンは激怒したんでしょう。
原作通り、または原作っぽい要素があることが思い入れのあるファンは許せなかった。
自分が一番に感じたのはシキシマと呼ばれる兵士が登場したところです。静かでクールな物言いの最強の戦士、それがシキシマです。もうお分かりの人がいると思いますが、原作のリヴァイに位置するキャラがシキシマです。
これがまた中途半端なんです。まず見た目がまるで似ていない。で性格も微妙に違う。単なるかっこつけの嫌なキザ野郎なんです(笑)そんなキャラにリヴァイファンが許せるはずがない。名前を変えた理由もイマイチ納得できない。リヴァイという名前は世界観に合わないからだそうです。なら他の名前はいいのかとつっこみを入れるところですが、エレンやジャンなどは今でもキラキラネームがあるぐらいだからあってもおかしくはないだろうというのがそのまま採用した理由だそうです。それとリヴァイにそれほど差はないと思うんですが(笑)
意味不明なオリジナル要素と原作からの引用、そのごっちゃ感がどちら側にもつけずに余計混乱に陥らせる結果になってしまっています。
自分がここまで述べてきたものは現在炎上中の作品への評価のごく一部でしかありません。作品で描かれた地獄絵図以上の地獄絵図がレビューの中で展開されています(笑)
だから思うんですよ、余計な付加価値をつけようとするんではなくてオリジナル設定に忠実にするかもしくは完全に何から何まで変えてしまった方がよかったんではないかと。まあそれでも大きなリスクはつきまとうんですが。
本当に漫画の映画化は難しい。意識しないように見ようとしてもそれは無理な話しだし、制作者は制作者で二つの方向性のジレンマに悩まされてしまう。『るろうに剣心』だって手放しで誉められるものではなかった。
今思えば、当初予定されていた中島哲也監督の『進撃の巨人』を見てみたかったといった感じです。彼は現代の日本を舞台に映画を撮ることを考えていたそうです。そして彼の撮る映画ですから彼だけにしか撮れない超個性的な作品になっていたはず。絶賛されるか、あるいは今の進撃以上の問題作になっていたかもしれません。だが少なくとも自分は後者が見たい。


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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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『進撃の巨人』は、もうほとんど興味がないんでチェック入れてないんですけど、プロデューサーが不用意な発言したりと、本編とは関係ない所で騒がれてるみたいですね。
リヴァイの不登場に関しては、設定の身長・体重に一致する芸能人を探したら、一致するのが出川哲朗しかおらず「それじゃヤヴァイになっちゃうだろ!」で不登場になったなんて噂もあるみたいですけど(笑)
まあ、極端な思い入れの強いファンが多いキャラだから、誰が演っても「リヴァイじゃない」って言われてしまうだろう。だったら、そのリスクは避けよう、ってあたりが理由なんでしょうねえ。
漫画・アニメの実写化の難しさについては、『エンジェル・ハート』実写化に対する原作者・北条司氏のコメントに尽きると思いますね。
「誰が演ってもリョウにならないのではないか」という多くの声に対して、北条氏はこう答えています。
「それぞれがイメージするリョウがあるから、誰が演じてもマンガそのままにはならないでしょう」

Re: タイトルなし

以前ジャッキー・チェンが冴羽リョウを演じましたねw
自分はイメージ重視ではないですね、脚本や演出や音楽などのトータルな上での映画としての完成度です。
だから例えマーベル映画であろうとつまらないものはつまらないと言います。
イメージがどうこうと言ってる人間も実は、内容の酷さに文句を言ってると思うんですよ。過去の作品を例にとってみてもどれも内容の酷さしか思いつかない。どうですか?

漫画・アニメの実写化で100%の再現なんて無理ということくらいファンは分かってると思うんですよ。評価が低い作品は、無理と分かった上で原作の良さをできる限り引き出そうというリスペクトがほとんど或いは全く感じられない物のような気がしますね。
某作品の監督が「原作は観ていません」とか言って、「なぜ?」と聞かれて「全く新しい○○を観てほしいから」とかぬかしてるのを読んだときには、貴様に○○を撮る資格はねえ!と思いましたよ。
クリエイターだから自分の色も出したいという気持ちも分からんでもありませんが、漫画・アニメの実写化においては原作まんまの方が下手にオリジナルな部分を付け加えるより数倍マシということも学んでほしいですね。

Re: タイトルなし

結局のところ、そのジャンルに特化したオタクに撮らせるのが一番良いんですよ。アベンジャーズシリーズしかり、パシフィック・リムしかり、ゴジラしかり。
アメイジング・スパイダーマンが失敗して再び仕切り直しになったのはそれが原因なんです。
監督のマーク・ウェブは『500日のサマー』という恋愛映画を撮って評価された人なんですけど、ソニーピクチャーズはその恋愛風味な内容をスパイダーマンに求めたんです。結果それは正解でしたがそれはファンが見たいスパイダーマンではなかった。
自分もそうです。もう退屈で退屈で。
あるいは多くのジャンル映画に精通した映画オタク。もちろん卓越した脚本能力が必要ですけど。そうした過去の優れた作品からの抽出と複合によって完成した作品が傑作になり得る場合もある。
進撃の巨人の町山智浩さんは知識はあったけど脚本家としての実績も能力もなかった。あの映画の失敗はそこにあるように思います。
プロフィール

ヒッシー

Author:ヒッシー
映画レビューから最新作の情報配信まで、映画に関する面白いことなら何でも書いちゃおうといったブログです。また映画フィギュアの紹介とそれを使ったコント劇も作っています。なぜか真面目な話が作れません(笑)と言うか、お笑いのほうが作ってて面白いし。
読んでくれた人に笑って楽しんでもらえる、そんなブログを目指しています。たまには真面目なレビューもするよ(笑)

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